美人妻😍🤗万葉集草木112.アサザ

アサザ(浅沙、学名:Nymphoides peltata)はミツガシワ科アサザ属の浮葉性多年草の水草です。湖沼や池の浅場に群生します。初夏から晩夏に、池や沼で水面上に伸ばした花茎先に、「キュウリ(胡瓜)」に似た、皴のある黄色い五弁花を咲かせます。一日花です。花言葉は、「信頼」「しとやかな」など。
万葉集では、「阿邪左(あざさ)」という名前で詠まれており、奈良時代に日本に存在した植物ですね。


万葉集とアサザ


万葉集でアサザが出てくるのはこれ1首だけです。1首の前半が父母(?)、公判が息子の歌という対話型の長歌です。


第13巻 3295番歌


作者:不詳
登場する草木:阿邪左(あざさ)、現在のアサザ(浅沙)


原文


打久津 三宅乃原従 常土 足迹貫 夏草乎 腰尓魚積 如何有哉 人子故曽 通簀文吾子 

諾々名 母者不知 諾々名 父者不知 蜷腸 香黒髪丹 真木綿持 阿邪左結垂 日本之 黄楊乃小櫛乎 抑刺 卜細子 彼曽吾攦



「打(うち)久(ひさ)津(つ) 三宅乃(の)原従(ゆ) 常土(ひたつち)(に) 足迹(ふみ)貫(ぬき) 夏草乎(を) 腰尓(に)魚(な)積(づみ) 如何(いか)有哉(なるや) 人(の)子故曽(ゆゑぞ) 通(は)簀(す)文(も)吾子(あこ)」

「諾々名(うべな) 母者(は)不知(らじ) 諾々名(うべな) 父者(は)不知(らじ) 蜷(みなの)腸(わた) 香(か)黒(き)髪(かみ)丹(に) 真木綿(まゆふ)持(ち) 阿邪左(あざさ)結垂(ゆひたれ) 日本(やまと、大和)之(の) 黄楊(つげ)乃(の)小(を)櫛(ぐし)乎(を) 抑(押さへ)刺(さす) 卜(うらぐ)細子(はしこ) 彼曽(それぞ)吾(あが)攦(つま、妻)」

「うちひさつ 三宅(みやけ)の原ゆ 直土に 足踏み貫き 夏草を 腰になづみ いかなるや 人の子ゆゑぞ 通はすも我子」

「うべな 母は知らじ うべな 父は知らじ 蜷の腸 香(か)黒き髪に 真木綿(まゆふ)持ち あざさ結ひ垂れ 大和の 黄楊の小櫛を 押さへ刺す うらぐはし子 それぞ我が妻」


意味


「三宅の原を 裸足で歩き 足を踏み抜き 夏草を 腰に絡ませて 一体 どんな娘さんの所に 通っているの、息子よ。」 by 父母(?)。  

「ごモットもです 母上は(その娘を)ご存じあるまい ごモットも 父上も(彼女を)ご存じあるまい 黒髪に 木綿の紐で アサザを髪飾りにし 大和の 黄楊(つげ)の小櫛を 刺した とても美しい娘 それが私の妻なのですよ。」 by 息子。

奈良時代は母系家族で妻問婚(つまどいこん)だったためか、嫁の顔を息子の両親が見たこともないというのは現代の私たちからすると驚きですね。

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