万145. パスカルの植物 葦

ヨシ(葦、学名:Phragmites australis)は、全世界の温帯〜熱帯地域原産でイネ科ヨシ属の多年草です。日本では弥生時代に既に自生しています。琵琶湖などに生えたものが平安時代あたりから使われるようになりました。
地下茎が伸びて沼などに大群落を形成します。当初はアシ(葦)と呼ばれていましたが、「悪(し)」を連想させるので、ヨシと呼ぶようになりました。草丈は2m〜3mです。茎は硬く中空で節があり、葉は広線形をしています。晩夏~初秋に、長さ20〜50 cmの円錐花序を伸ばし暗紫色の小穂長を付けます。

ヨシは河川や湖沼の水質汚染となる窒素やリンを吸収して水を浄化し、水中に住む巻き貝や蟹、小魚、水鳥の良好などの生息地となっており生態系保全の役割を担っています。冬に枯れたヨシは刈り取り乾燥させて、日除けや目隠し用のすだれとなる葭簀(よしず)や、様々な紙製品や、雅楽器「篳篥(ひちりき)」のリード部分である「廬舌」に使われています。
葦の地下茎は地中深く生えているので、春の新芽が出やすいように野焼きして他の雑草と一緒に燃やすと、葦は燃えずに新芽を出すので翌年に良質な葦が育ちます。


タンチョウ(丹頂)タンチョウヅルの絵
わたしが鶴です。自分はこんな風に飛んでるらしい


葦に関するパスカルの有名な言葉


フランスの17世紀の思想家・数学者の ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal, 1623-1662)が「パンセ(Pensées)」(1670年)で記述した言葉は有名です。

原文:L'homme n'est qu'un roseau, le plus faible de la nature; mais c'est un roseau pensant.
英訳:Man is only a reed, the weakest in nature, but he is a thinking reed.
日本語訳:「人間は、自然界では最も脆い葦に過ぎない。しかし人間は考える葦である。」

因みに、パスカルは1648 年にパスカルの原理を発見するとともに、山の上と下で水銀柱による実験を行い「大気圧」の存在を証明しその功績によって気圧単位に「ヘクトパスカル」が用いられるようになりました。


万葉集と葦


万葉集には山部赤人による以下の歌があります。

出典:万葉集 第6巻919番歌
作者:山部赤人
原文:「若浦尓 塩満来者 滷乎無美 葦邊乎指天 多頭鳴渡」
詠み:「若の浦に 潮満ち来れば 潟を無み 葦辺を指して 鶴(たづ)鳴き渡る」
意味:「若の浦に 潮が満ちて来ると 干潟が無くなるので 辺(あしべ)を目指して が鳴きながら飛んで行く」

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