万166. これやこの~海苔 万葉集

「これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関」 百人一首 蝉丸(後撰集 雑一・1089番)

百人一首で蝉丸君(天慶9年(946年)9月24日没)が詠んだ有名な↑和歌は、「これやこの」という出だしで始まります。とても斬新で100首中でも覚えやすいものの一つですが、実はなんとこの これやこの という表現は既にその200年前に万葉集で使われていました。

今回のテーマ「海苔」では、「これやこの」を詠んだ一歩先の万葉集に触れ、日本最古の法律「大宝律令」で海苔や昆布などの海藻8種類が人頭税とされていたこと、浅草ノリの養殖が江戸時代に始まったことなどをお贈りします。身近な食べ物だけど結構知らないことが多いですね。

ノリ(海苔、学名:Neopyropia tenera)は、日本沿岸原産で、主に、アーケプラスチダ界紅色植物門紅藻綱ウシケノリ目ウシケノリ科アマノリ属の紅藻類の海草を指しますが、紅藻や緑藻などを含む食用藻類の総称でもあります。

万葉時代には「紫菜(ムラサキノリ)」や「アマノリ(甘海苔)」、「神仙菜」と呼ばれ既に食用としていました。
江戸時代からは大森で養殖が始まりアサクサノリ(浅草海苔、アマノリ属アサクサノリ種)が作られました。現在ではスサビノリ(荒び海苔、同属異種:アマノリ属スサビノリ)が主流となり養殖・出荷されています。栽培範囲はどんどん広がり、現在では、北海道~本州、四国、九州で養殖されています。


日本最古の法律「奈大宝律」


日本で一番古い法律である「大宝律令」(飛鳥時代大宝律令制定(701年)、702年2月6日施行)では租税として、ノリを含む8種類の人頭税がありました。


大宝律令で定められた海藻8種類


和海藻(ニギメ=ワカメ)、凝海藻(コルモハ=テングサ=トコロテン、万葉名:凝海菜(こるもは)、大凝菜(おおこるもは)、石花菜 紅藻類)、海松(ミル)、紫菜(ムラサキノリ=アマノリ=海苔)、海藻根(マナカシ=メカブ)、滑海藻(アラメ)、未滑海藻(カジメ)、雑海藻


万葉集と玉藻


万葉集 第15巻 3638番歌
作者:右一首 田邊秋庭
題詞:天平8年(736年)過大嶋鳴門而經再宿之後追作歌二首
登場するもの:多麻(たまも)=海藻

万葉集に登場する「玉藻」とは、コンブや、ワカメ、アラメ、ミル、ヒジキ、アマノリ、アオノリ、アサオ、テングサ、フノリなどの食用藻類の総称ともされます。


原文


巨礼也己能 名尓於布奈流門能 宇頭之保尓 多麻毛可流登布 安麻乎等女杼毛


訓読


これやこの 名に負ふ鳴門の うづ潮に 玉藻刈るとふ 海人娘子ども


意味


これだこれ これが有名な鳴門の 渦潮だ こんな危険な場所に藻狩船で乗り出して 玉藻(海藻)を刈っている 海女(あまおとめ)の娘たちがいるよ、なんとも凄いことだなぁ!

花言葉やもっとお知りになりたい方はこちらをご覧下さい。

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