客引きのような長歌、万葉集草木シリーズ17.イチイガシ

イチイガシ(一位樫、学名:Quercus gilva)は、日本~東アジア原産でブナ科コナラ属の常緑広葉高木です。万葉集で、イチイガシが詠まれていますが、575の短歌ではなく長歌なので、一部抜粋して掲載します。


万葉集で詠まれた【イチイガシ】


巻16-3885 長歌 題詞に「乞食者詠・ほがひびと」


【原文】


伊刀古 名兄乃君 居々而 物尓伊行跡波 韓國乃 虎神乎 生取尓 八頭取持来 其皮乎 多々弥尓刺 八重疊 平群乃山尓 四月 与五月間尓 藥猟 仕流時尓

足引乃 此片山尓 二立 伊智比何本尓


【読み】


いとこ(伊刀古) 馴染み(汝背)の君 居り居りて 物に行くとは 韓国の 虎神を 生け捕りに 八つ捕り持ち来 
その皮を 畳(多々弥)に刺し 八重畳 平群の山に 四月と 五月間に 薬猟 仕ふる時に

あしひきの(足引乃) この片山に 二つ立つ 櫟(いちい、伊智比)が本(もと)に


【意味】


さあさ皆さんお立合い 家に籠っていると、出掛けるのは辛い(つらい→からい)韓(から)国にでも行ってみなされ。
虎を八頭 捕らえて持ち帰り その皮を八重に畳に張りつけて 平群の山に、鹿の角を取って薬猟りせんとするなり。

片山に二本立つイチイガシのもとに、

以下、本文に続く

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