源008.源氏物語の草木 第8話 浅茅生(茅)

源氏物語の草木

源氏物語の草木

NHK TV大河ドラマ「光る君へ」第1話が昨夜から始まりました。こちらは、源氏物語の著者 紫式部の一生を描いた物語です。下級貴族の娘に生まれた少女はこの時点ではまだ源氏物語を書いていませんが、同じく少年の藤原道長と出会って友情が芽生え始めたところでした。この回ではなんと、紫式部の母が道長の次兄に殺されるという場面があり、視聴者のコメントでは皆一様に驚いたと書いていました。このような事実は史実には残っていません。これらの体験が、大人になってから源氏物語を描くベースとなったのでしょう。次週の第2話は、それから10年後となると予告にありました。

それはそれとして、本題の「源氏物語の草木」に話を戻しますと、源氏物語の話中で草木らしい名前が出て来る場面で状況を交えながらご説明します。

源氏物語これまでのあらすじ
命婦が母君の元を辞して帰宅する段です。


第8話 靫負命婦の弔問の場その4


(源氏物語 1.7 靫負命婦の弔問より)


命婦と母君の御歌


靫負命婦(ゆげいのみょうぶ)が母君の邸を辞去時の御歌と、母君の御歌

(源氏物語)
(命婦)「鈴虫の声の限りを尽くしても長き夜あかずふる涙かな」
えも乗りやらず。

(母君)「いとどしく虫の音しげき浅茅生に露置き添ふる雲の上人」
「かごとも聞こえつべくなむ」と言はせたまふ。

(意味)
(命婦)「鈴虫が声の限りに鳴きつくしても 長い夜は明けず涙が流れることよ」
と車に乗ることができない。

(更衣の母)「夥しく虫の音がする草深い庭の茅の露にさらに殿上人の涙が添えられました」
「愚痴をつらつらと申しました」と母君が、車乗り場にいる命婦へと侍女に取り次がせる


チガヤ(浅茅生)の登場


ここで出て来る浅茅生とはチガヤ(茅)のことで、おおざっぱな訳では雑草とされてしまう草木ですが、蓬にしても茅にしても、それぞれの草に名前がありますし原文にきちんと記載があります。牧野富太郎博士曰く「雑草と言う草は無い」ですから。

チガヤ(茅萱、学名:Imperata cyindrica)はアフリカ、アジア、豪州原産で、イネ科チガヤ属の多年生の雑草です。別名で浅茅(あさじ)、浅茅生、浅茅原(あさじはら)、チバナ、ツバナ、英名でChigaya、cogongrassと呼ばれます。北海道から沖縄の日本全国で畔や草原に自生します。根茎から茎を多数出して群生します。茎高は30~60cmです。漢方や民間薬に使われます。

詳しい説明や花言葉は、こちらをご覧下さい。

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チガヤ(茅萱、学名:Imperata cyindrica)
特集 源氏物語の草木

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