つく7 バニラ(Vanilla planifolia)

バニラ(Vanilla、学名:Vanilla planifolia)は、メキシコ南部と西インド諸島などの熱帯アメリカ(中南米)原産で、ラン科バニラ属の蔓性(吸着根)常緑着生蘭です。コモロ連合(Comoros)の国花となっています。バニラの主要生産地はマダガスカルを含むブルボン島です。
バニラは蔓性植物なので巻き付く木が必要で通常、カカオ(学名:Theobroma cacao L.)の木が使われますが、代用品で木の格子が使われることもあります。蔓はどんどん伸びて長いものでは60mにもなります。蔓には、肉厚の葉が互生で付きます。葉は、緑色で長さ20 cmの長卵形~楕円形で、全縁で、芳香はありません。
4~6月に総状花序を伸ばし、花径5~6 cmのラン形の花を付けます。花は肉厚で、薄緑色~黄緑色で、朝5時頃に咲き始め、夕方に萎む1日花です。花の形状は、1つの筒状の唇弁と2つの披針形の内花被片、及び3枚の披針形の外花被片から構成されます。花には芳香が無いので昆虫などを引き付けられません。原産地ではハリナバチ(針無蜂、Melipona beecheii)やハチドリ(蜂鳥、学名:Trochilidae)が受粉の役目をしますが、其の他の国では人工授粉させているようです。



ハチドリ
ハチドリ(蜂鳥、学名:Trochilidae)

10月~12月に成る果実は長さ15~25 cmの蒴果で、インゲンマメ(隠元豆、学名:Phaseolus vulgaris)のような細長い円筒形をしています。莢の中には長さ0.5 cmでレンズ形をした種子が入っており、最初は緑であったものが光沢のある紫褐色に変色するとバニラ特有の甘い香りが漂います。
果実は種子を含む種子鞘ごと収穫し、発酵と乾燥を2~3週間繰り返すと次第に甘美な香のする(バニラビーンズ、vanilla beans)が出来ます。バニラビーンズの成分を抽出し溶剤で溶かすと、バニラエッセンスや、バニラオイルが出来ます。それらは、菓子や、アイスクリーム、チョコレートなどの香付けや薬用(ヒステリや鎮静薬等)に利用されます。 バニラビーンズを付ける木に成長するまで3年以上かかります。


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バニラ(Vanilla)
ラン科の花

【花日記】
つくば植物園7(筑波実験植物園)バニラ(Vanilla、学名:Vanilla planifolia)かぎけん花図鑑 花日記2024年3月19日(火)

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